ホーム > 小谷の250字 > 2003年6月(30)


<< 大枚の効果、その後 >>


2003/6/7(Sat)

 瀕死の小谷を蘇生させたその点滴だが、その名も「プラセンタカクテル」。早い話が主成分はヒトの胎盤である。この歳で乳離れできないどころかまさか胎盤の世話になろうとは情けない話だが、胎児の発育に必要な4千種類以上の栄養素を含むだけあってその効果はてきめんだ。
 とはいえしょせん何日も効果が続くはずはないが、10歳は若返ったのではないかと錯覚する瞬間を体感できただけでいい。まだ自分にもこれだけやれるのだという自信が戻ってくるだけでも大枚をはたいた価値はある。老いなどしょせん気分にすぎないのだから。
小谷隆


<< リフォームの限界 >>


2003/6/8(Sun)

 築50年の家を維持しようと思ったら毎年いったいいくらのリフォーム費用がかかるか。いっそのこと建て直してしまった方が安上がりである。しかし「これは代々受け継いだものだから」「思い出がつまっているから」ということでなかなか壊せない。しかしリフォーム費用は確実に家計を圧迫する。
 日本の多くの企業がこれと同じ問題に直面している。しかし暮らす人こそが主であり、器たる家や企業を「伝統」「聖域」して放置すれば人が先にへばってしまう。
 音楽表現もまた同じ。いつまでも伝統のドグマにしがみついている場合ではない。
小谷隆


<< 俄か太公望 >>


2003/6/9(Mon)

 川沿いの家に住んで12年目、はからずもその水の幸を堪能する機会に恵まれた。朝の散歩の足で河原に降りて釣り人と世間話をしているうちに興味がわき、さっそく6尺の小継で四半世紀ぶりに糸を垂れた俄か太公望は川海老を30尾ほど水揚げした。
 ただ待つだけの忍耐強さだけで釣り果は期待できない。当たりが悪ければ頭を切り替えて場を移し、仕掛けをいじってみることも必要だ。じっさい最初の手応えが来るまでに5度は釣り場を変えた。釣りは短気な人間に合うと郷里の父もよく言うが、なるほど釣りバカの父は無類の短気である。
小谷隆


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