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<< 猫の子一匹救えぬ身 >>


2003/6/10(Tue)

 川の土手に手製の紙箱。まだ眼もろくに開かない子猫が一匹。掌に載るほどの小さな躯から振り絞るようにミーミーと鳴く声は我が家のベランダにまで聞こえてきて、さすがに放っておくわけにもいかない。さりとて猫嫌いのいる我が家に連れ帰ることもできず、トレイに牛乳を入れて与え、毛布代わりに古いタオルを添えておいた。
 夕方、声が聞こえないのが心配になって様子を見に行ったが、もう子猫の姿はない。家に戻るとなんと隣家からさっきのか細い鳴き声が聞こえてくる。ほっと一安心だが、猫一匹救えぬ我が身が何とも歯がゆい。
小谷隆


<< 果たしてあゆがこの値段で売れるか? >>


2003/6/11(Wed)

 山口百恵のアルバムが22年6カ月ぶりにオリコンチャートでトップ10入りしたという。アルバムは未発表曲を含む計263曲が収録された24枚組のセット。ロンドンで録音された未発表曲「東京の空の下あなたは」も収録されているほか、写真集まで付いた豪華版だ。「MOMOE PREMIUM」の名に恥じないプレミアムな逸品だが、そうはいってもこの破格の値段。これほど高いCDがベスト10入りした前例はさすがにないらしい。
 ふと思うのだが、仮に浜崎あゆみやモーニング娘がいま引退したとして、22年後に全曲入りベスト盤を出したら果たして何枚売れるだろう?
小谷隆


<< 一度は言ってみたい >>


2003/6/12(Thu)

「退職金を16億円もらったら何に使いますか」とのインタビューに新橋の酔っ払いたちは「フェラーリを買って豪遊する」「世界一周旅行に出かける」と様々。しかしどれも16億円を要するほどのものではない。翻って自分自身、100万円の使途なら答えられるがさすがに16億となるとピンと来ない。それぐらい非現実的な金額だ。
 子供もなく老夫婦二人が余生を暮らしていければじゅうぶんという大賀さんは退職金の全額を軽井沢町に寄付して音楽堂を建てるという。ご本人に直接うかがったら「使い道がない」のだと。一度は言ってみたい言葉である。
小谷隆


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