ホーム > 小谷の250字 > 2002年3月(31)


<< カタルシス >>


2002/3/7(Thu)

  平静であることが美徳として説かれたのは過去の話かと思っていたら、今も喜怒哀楽の激しい人間は社会性に乏しい異常者と扱われ、わざわざそれを矯正するための心療内科なるクリニックまであるようだ。そこではいろんな種類の安定剤を配っている。
 感情の激しさは社会的なつきあいの障害になることもあるだろう。しかし泣いて笑って怒るのが人間ある。人間らしさを抑えて人間と付き合うとはいかがなものか。「涙は心の汗さ」とは青春ドラマのテーマソングだが、言い得て妙だ。カタルシスを欠いた人間こそいずれ破綻するのではないか。
小谷隆


<< 自己否定としてのピアノ曲 >>


2002/3/8(Fri)

 鍵盤に向かってかれこれ10日、知巳の言を借りれば気でも触れたかとでも思わせるほどピアノの小品ばかり発表してきた。配信サイトで常連の歌モノを押し退けてランキングの上位に上がった曲もある。スタッフをも驚かせる健闘だが、実は意外でも何でもない。
 これは「ネットのリスナーは本来、巷に濫れる音楽の焼き直しを探しに来ているのではない」という仮説に対する実験である。そしてそれは一連のピアノ曲は現状のネット音楽ランキングへのささやかなレジスタンスでもあるし、同時に僕自身がネットでやってきた音楽の自己否定でもある。
小谷隆


<< 分社化しても小さくならない会社 >>


2002/3/9(Sat)

 インディーズCDの国内売上が前年比26%増らしい。金額は185億円にものぼる。インディーズといっても大小様々で、中には今や大手のうちに数えてもおかしくない規模のものもあるので中小企業万歳とも一概に言えないが、それにしても前年比4%減のメジャーが趣味趣向の多様化についていけてないのは確かだ。
 メジャーも分社化などで経営のスピード化をはかるが、大企業根性は一朝一夕に払拭されるものでもない。大資本と知名度を背景にした宣伝費偏重・タイアップ頼みのやり方を脱しない限り体質は変わらないだろう。
小谷隆


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