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<< 僕よりも辛辣な批評家 >>


2002/1/7(Mon)

 持ち込まれた作品に率直な感想を述べ、まずは基礎を固めなさいとアドヴァイスしたら、あろうことか「自分の音楽をバカにされた」と他に吹聴する情けない卵さんがいた。そんな愚痴を聞いてくれる駆込寺のような存在もいるようだが、無責任な寛容は時として才能の芽を摘んでしまう。
 底を見せ始めていながらも自分は天才だという思い込みに溺れて日々の地道な蓄積を怠ったツケは、枯渇という形で返ってくる。ネットに流してみればよくわかる。DL数は曲ごとに確実に落ちていくことだろう。リスナーは僕よりもはるかに雄弁で辛辣なのだ。
小谷隆


<< 楽器のすすめ >>


2002/1/8(Tue)

 若いスタッフ二人が揃ってバイオリンを始めた。一人はギターの学校まで出たほどの下地があり、一人はまったくの素人。前者は運指の華麗さとは裏腹にピックから持ち替えた弓が空回り。後者は右手も左手も恐る恐るだが、一つひとつ大事に音を出す。さすがに両者でアプローチが違って面白い。
 かく申す僕も三十の手習いでギターをベースに持ち替えた。たかが低音ギターと高をくくっていたものの、やがてまったく違う楽器であることに気づき、運指の基礎からやり直すことになった。
 基礎練習は地道だが楽しい。今でもいろんな発見がある。
小谷隆


<< リアリティもほどほどに >>


2002/1/9(Wed)

 ゲームの映像の進化には驚く。8ビットのファミコン時代からは想像もできないほどリアルで、インベーダーゲームで記憶の途絶えている僕は浦島の気分だ。
 しかし一方で最新のFFの評判は意外と芳しくないらしい。最新のCG技術を駆使した画像は時に実写と見紛うほどの迫力だが、あまりに現実的すぎてかえってゲーマーの想像力を削いでしまうのだという。
 音楽においても生活を日記のように描いたリアリティが珍重される時代はもう長くない。人々の想像力を喚起するのは昔のゲーム画面のごとき単純明快なデフォルメなのかもしれない。
小谷隆


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