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<< 肉筆の温かさについて >>


2002/1/10(Thu)

 朝のコーヒースタンドのカウンターで、携帯電話を脇に置いて便箋にペンを走らせる若い女の子。お父さんへ、という書き出しが垣間見える。e-mail全盛、数千万人が親指で交信する時代に、愛娘から届く手書きの便りはさぞかし温かく映るに違いない。こっちまでほのぼのとした気分になる。
 昨日、2編の詞がファックスで届いた。詞先の曲を任されるとき、きれいにタイプされた無機質な原稿よりも肉筆の詞をもらった方が作者の意図も汲みやすく曲想が浮かびやすいと感じるのも、あながち気のせいではないだろう。手書き文字は雄弁だ。
小谷隆


<< 見極めの根拠 >>


2002/1/11(Fri)

 僕は自分が音楽の才に恵まれた人間であるとは思っていなかったから誰よりも努力をしてきた。その過程でいろんな段階を経験した。譜面を読めない段階から、人に楽理を教える段階まで。だから新人の音を聴けばその人が今どの段階にあるかぐらいは見当がつく。月日を置いて定点観測すれば今後どれぐらい伸びそうかも想像できる。
 およそいいオトナに明確な指針を与え、半年後にまったく成果の出ていない人はまず伸びなかった。ハナからやる気がなかったのか、本当に能力がないのかは別として。僕の見極めの根拠はそんなところにある。
小谷隆


<< 3000円の使途 >>


2002/1/12(Sat)

 3000円拾ったら何に使う? 行きつけのバーで20歳の女の子に訊ねたら、ケイタイの払いに回すそうだ。この子の場合、月に3万かかるらしい。
 日本の国民総支出は約500兆円。うち1%にあたる5兆円以上が携帯電話の通信費。支出の総和はここ数年変わっていないから、何かが削られているわけだ。最も減ったのが食費。食という本然的な欲求を抑えてでもメールはやめられないということだろう。まさに三度のメシより好きということになる。
 まして昨今のCDなど食を削るにも値しないのだということが経済白書の行間に読み取れる。
小谷隆


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