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T字型歌手求む
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2002/1/13(Sun)
専門分野はより深める、しかも一般教養はより広げる。これをT字型人間という。21世紀に期待される人材像だそうだ。専門化しすぎても一般化しすぎてもダメ。広く浅く、ではなく、広くところどころ深く、である。
昨今は売り手が楽曲を恣意的にR&B系だのハウス系だのと分類して宣伝するせいか、唄い手の卵たちも好みのアーティストが属するジャンルに自分を押し込んでしまいがちだ。そのために唄い回し一つにしても幅を広げられないでいる。
願わくは演歌もロックもこなしながらライトポップをきちんと唄う人にめぐり逢いたい。
小谷隆
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唄い回し
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2002/1/14(Mon)
新人のテストで「めだかの学校」を唄えと言ったら、自分はR&Bが専門なのでそういう歌は唄えないという答が返ってきた。仕方なく小柳ゆきをやらせたらなるほど巧みに真似る。が、オリジナル曲を渡して2週間後に唄わせてみたらからきし歌になっていなかった。
一つの音の出し方をとっても立上がり、持続、切りの3つをどう唄うかでニュアンスが変わる。歌唱とは譜面に記されないそうしたニュアンスの集合だ。それを唄い回しという。手本のある既存の曲は誰も巧くこなすが、自分の唄い回しを一から作れる子はほとんどいない。
小谷隆
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音楽をモノからコトへ
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2002/1/15(Tue)
音楽産業が衰退してきた要因として、楽曲がコトからモノに堕ちたということが挙げられる。最近のヒット曲がモノに堕ちているのは、それらの多くがCMソングであったりドラマのテーマであったりなど、当初から付属「物」としてしか存在できないからだ。しかも商品キャンペーンやドラマが終われば曲も存在基盤を失い、1ヶ月もすればランキングから消える。
音楽を復権させるにはまずそれ自体を一つの「現象」として自立させるべきだろう。モノは消費されるのが道理。しかしコトは現象であり、瞬時に現れて消えるが何度も再生される。
小谷隆