ホーム > 小谷の250字 > 2003年2月(28)


<< ケチャ? >>


2003/2/4(Tue)

 朝食を買いに近くのバーガーショップに行ったらレジの女の子に「ケチャ?」と訊ねられた。訊き返したら今度は「ユニケチャ?」と。それでもわからない僕を見て彼女は肩をすくめ、パックのケチャップを僕の前にかざした。なるほど、「You need ketchup?」 だったのか。オーケー、プリーズ。
 マクドナルドでは「シュテアゴ?」と訊ねられる。「Stay or go?」、つまり「お召し上がりですか、お持ち帰りですか」の意味。ちなみに従業員同士ではスパニッシュで会話している。まあこれもニューヨークだ。
小谷隆


<< グルーヴの都、ニューヨーク >>


2003/2/5(Wed)

 ここへ着いてからほとんど56番街から58番街ぐらいの間を行き来しているだけなのに、なぜかもう街のグルーヴに包まれている。不思議と歩みも大股になって、♪=98ぐらいのゆったりとしたテンポで身体がスイングするのがわかる。
 グルーヴなるものは複数の異なるリズムが混じりあうことで起こる揺れだと僕は信じている。白人、黒人、スパニッシュ系、東洋人。街ではいろんな人種に遭遇する。歩き方もみな違う。世界を席巻するグルーヴはそんな人種の坩堝の中で繰り広げられる予期もしない化学反応から生まれてくるのかもしれない。
小谷隆


<< アメリカの強さ、ニューヨークの強さ >>


2003/2/6(Thu)


 550Madisonで友人を待っていたら通りすがりの人に道を訊ねられた。いつの間にかいっぱしのNew Yorkerのような顔をしていたのだろうか。
 アメリカの強さの源はこんなふうに通りすがりの異邦人さえあっさり受け容れてしまう寛容さにあるのだろう。しかしその寛容さは容赦ない厳しさと背中合わせだ。自分を持っていなければ潰されてしまう。なるほど音楽でも美術でも、New York発で世界を席巻する芸術はこんな厳しい淘汰を受けているからこそどこの国の価値観にも負けない強さを持つのだろう。
小谷隆


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