ホーム > 小谷の250字 > 2002年7月(31)


<< 今風か過去風か >>


2002/7/4(Thu)

 僕は音作りに関して「今風」とそうでないものとの間でずいぶん揺れ動いた。あえて古臭いものをやってみたり最新の音にしてみたり、はたまたそれらを融合したりと、試行錯誤の連続だった。
 しかしその中から開き直りが生まれた。しょせん時代は繰り返す。新旧なんて現代を正とする独善的な視点による物差しにすぎない。長い眼で見て、そのときいちばん気持ちいいと思う表現手段をとればいいだけのことだと今は考えている。それがたまたま流行り系であってもいいし、ド演歌であってもいい。だから「水の歌」から「バッキャロー!」まである。
小谷隆


<< 音楽は人柄そのもの〜スズキイチロウさん >>


2002/7/5(Fri)

 僕の友人にスズキイチロウさんという冗談のような本名を持つ凄腕のジャズギタリストがいる。演奏の腕や音楽センスもさることながらこの人は何より人間として非常に魅力的な人物だ。話して面白い、書いたものを読んで面白い。人として温かいのである。それでいて「まあ最後の判断はきみに任せるよ」といった押しつけがましくないドライさも持ち合わせている。
 この人がギターを弾くとき、その指を動かしているのは技術でもノリでもなく人柄そのものであると思う。実に繊細で、時に大胆で、しかし最後はお客さんの呼吸を大事にしてくれる。
小谷隆


<< 小道具を使って温故知新 >>


2002/7/6(Sat)

「たそがれて」という歌について「あの歌詞は事実ですか」という問い合わせが殺到した。そんなのどうでもいいじゃないかと思うが、あえて一括回答するなら「事実を組み合わせたフィクション」と言っておく。
 たとえば昭和60年に起こった出来事に、メールやらケイタイといった小道具を散りばめればそのシーンのエッセンスを現代に甦らせることもできる。極論すれば現代の企業社会に源氏物語を持ち込むことだって可能だ。場面は変わり、道具は変わっても、やはりそこには不変普遍なものがある。そんな題材はあちこちに転がっている。
小谷隆


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