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<< 10億人に向けて白黒黄色 >>


2002/5/4(Sat)

 英チャートでシュガーベイブスの新曲「Freak Like Me」が初登場1位。90年代のR&Bナンバーをリメイクしたもので、80年代風のシンセがフィーチャーされている。おかげで2年ぶりのオアシスのアルバムが前週1位から4位にはじき出された。
 10代の少女3人組。低年齢化が欧州にまで波及するとは、と嘆きたくもなるが、この子たちはただの英国版モー娘ではない。なんと白人と黒人と東洋人の組合せだ。さすがに西洋らしく人種に関する配慮がうかがえるが、人種別に細分化されがちな趣向をひと括りにつかまえようとする商業的な意図が見える。何しろ英語は10億人市場だ。
小谷隆


<< ハーモニーを知らぬ国民 >>


2002/5/5(Sun)

 一時期の高音ブ−ムで喉を絞るようにして唄う女の子たちが増え、もともと耐久性のない喉に不相応な高周波振動の負荷がかかってラオケポリープなる病気も急増した。そもそも同じ旋律を同じキーで唄うことを強制してきた日本の初頭音楽教育の歪みが産んだ悲劇か。
 西洋の教会では子供たちが早くから声質でパート分けされ、無理のない音域で思い切り声を出している。それぞれが与えられた役回りをこなし、美しいハーモニーやグルーヴを作る。
 日本人は協調性の強い民族だと言われるが、こと音楽に関してはあてはまりそうにない。
小谷隆


<< 人に聴かせる難しさ >>


2002/5/6(Mon)

「人に聴いてもらえる歌を唄うのがいかに難しいか痛感しました」。ウチで修行中の歌手が仮録音を終えてそうぼやいていた。まったくその通り。身近な人に出す料理なら美味い美味いと世辞のひとつでも言ってもらえるけれども、なかなかどうして商売となると話は別。仮に商売にしないとしても見ず知らずの人に掛け値なしで美味いと言わせるのは難しい。それと同じだ。
 誰も他人の歌などに耳を傾けることのないカラオケボックスで周囲を釘付けにしてみよと思う。歌本で次の曲を探すのに余念のない手を停めさせて初めて脱・カラオケ王である。
小谷隆


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