2002/1/23(Wed)
昭和40年代回帰ブームを見越して昔の歌謡曲テイストの曲作りを始めたという話をよく聞く。温古知新だと。もっともらしいことを言うが、そこに新しさなどあるのだろうか。
国家予算が今の半分だった時代の音楽が、いくら不景気とはいえ餓える心配のなくなった現代のリスナーの胸中に去来させるものは、モノがないゆえに心が豊かだった時代への郷愁であり、現代の音楽が切るべき側面もそこにある。スタイルばかりに気を取られていまどき過去のド歌謡曲の真似事をしたとて、しょせんキワモノで終わるのではないかと僕は考えている。
小谷隆